春に笑って、君宿り。

だって誰もそんなこと教えてくれなかった。


「ぶっちゃけ、今回の年下くんもクズなんじゃないかって思っちゃってるわけよ」

「そ、そんな!?」


よくない決めつけ!!
雪杜くんのことは私が一番よく分かって……

み、みんなより1日分多く私の方がわかってるよ!!


「な、なんの根拠があってそんな……」

「いい? よく聞きなはなの」

「……!!」


ゴクリと唾を飲み込む。2回目だ。


「昨日の放課後、友達から聞いたんだよ。その年下くんの噂」

「う、噂……!?」

「こら、楽しそうにしないの」


どんな噂だろう!?
少しでも雪杜くんの事が知られるなら嬉しい。

つい目が輝く。……さっきほど大きくは開かないのが残念。


「めちゃくちゃ、『悪』らしいよ」

「……え?」


萌ちゃんがただならぬ雰囲気のまま続ける。

悪……!?