春に笑って、君宿り。

「『好きな人には、正直でいて欲しい』って言ったよね」

「あ……う、うん……」


ポッと顔を赤く染めて、俺の胸に顔を埋めた。
都合のいい逃げ場があってよかったね。


「う、うまくできるかな」

「今みたいに甘えたらいいだけでしょ」

「……ワガママに、なっちゃわないかとか、迷惑にならないかなって」


顔を埋めたまま呟くように言う。
別にそんなの、いいのに。


「俺だけにくれるわがままなら全部愛しいし、先輩からの迷惑は迷惑にならない」

「……っ、ゆ、雪杜くん」


やっと顔を上げてくれた。
さっきよりも赤くなっているのがわかる。

暗いから余計、よく見える。


「いっ、いつからそんなかっこいいこと……」

「先輩が教えてくれた気持ちなんですけど」

「ううう……」


いつも俺の前では余裕の先輩が、今はこんなに焦って照れて、恥ずかしがってる。
なんか、急に優越感。

やっと男として意識してもらえた気がして、嬉しくなる。