春に笑って、君宿り。

何でもない人なら流せることでも
きっと本気だから受け流すことができなかった。

誰でもいいならここまで悩まなかった。

本気だから本気で悩むし、本気で嫉妬する。


トーガ先輩以外に、どんな男と付き合ってきたのかは知らない。
ただ、この人を傷つけてきたのだけはわかる。

その人達にとっては2番目でただのパシリ程度の存在でも
先輩にとっては間違いなく大切な人だった。


だから失うことを考えるし、怖がって本音を言えなくなって。

嫌われたくなくて、人の為になんでも力になろうとするんでしょ?


そうやって踏みつけられて捨てられた花でも
俺が綺麗だと思うから。

そのまま笑っていてほしい。


「先輩」

「ん~?」


うわ。
あからさまに顔が緩みきってる。

どんだけ喜んでるんだよ。


「俺には、正直に気持ち、話してね」

「え……」


きょとんと目を丸くする先輩。
……もしかして、この間家で言ったこと忘れてる?