春に笑って、君宿り。

「た、環くんと一緒にいてもヤキモチ妬いてくれなかった!!」

「タマキ先輩?」


そういえば、やたらとタマキ先輩と張り合おうとするな。
なんて考えながら先輩の頭をそっと撫でる。


「タマキ先輩にはとっくに俺の気持ち、話してたからね」

「ええっ!?」

「家に来て勉強しながらよく話聞いてもらってたから」

「……そ、そうなんだ……」


ようやっと納得がいったのか、
先輩からの質問の嵐が止んだ。


「じゃ、じゃあ……ほんとうに……?」


大きくてガラス玉みたいにキラキラ光る瞳が
涙で潤って余計に綺麗だなんて
泣いてる人に対して失礼かもね、ごめん。


「雪杜くんは、私の『好き』を信じてくれる……?」

「うん」

「私、雪杜くんの好きな人になれたの……?」

「そうだよ、何回言わせるの」


星が映った瞳が揺れる。


「何回でも言って」


強く強く抱きしめた。
思えば、こんなにしっかり君を抱きしめたのは初めてかも知れない。