春に笑って、君宿り。

「だって、よく知りもしないで告白してくるし、やたらと子供扱いしてくるし」

「好きなんだもん、とめられなかったんだもん」


先輩の眉間にしわが寄る。
それすらかわいいと思うんだから、好きを自覚するってすごい。


「雪杜くんだって、好きな人いるって……」

「うん、言ったよ?」

「だ、だってあれって……」

「……花暖先輩のことだけど」

「じゃ、じゃあ……」


先輩の中の腑に落ちない部分を一つ一つ解消していく。
答え合わせをするみたいに。


「す、好きな人いるのに、女の子たちにはいないって否定したでしょ……?」

「ああ、うん」


俺に好きな人がいるのかと、女子から問い詰められていた時の話でしょ。

……まさか、君が盗み聞きしてたとは思わなかったけど。


「あれも、なんでか気になる」

「噂っていう中途半端な形で、花暖先輩に伝わって欲しくなかった。自分で伝えるべきでしょ、そういうのって」


色々と誤解させてしまっていたみたいだ。

俺の言葉を聞いてどんどん顔を赤くして
喜んでるのか照れてるのか分からない表情をする。

そう。
そうやって、少しずつ実感してよ。