春に笑って、君宿り。

待たせてごめん。
君はたくさん伝えてくれたのに。

小さくて華奢な体を抱きしめる。


「もういっかい……」

「好き」

「ん~……もういっかい……」


必死にぎゅっと抱きしめてくる姿が可愛い。
子供がしがみついてくるみたいだ。


「好きだよ」


先輩の頭に頬をすり寄せる。
誰かを、こんなにも大切に思える日が来るなんて思わなかった。


「雪杜くん……」

「うん?」


そっと顔を上げる先輩。

みんなで遊園地に行った日のことを思い出す。

子供みたいに泣きじゃくる先輩がおかしかったな。


「本当に、好き……?」

「どうしたら信じてくれる?」

「……っそれ、雪杜くんだけには言われたくない……」


私だってずっとそう思ってきたんだよ?
口をとがらせて、上目遣いでそう言ってくる。