春に笑って、君宿り。

「結構窮屈な生活でさ。全部包みこんで、小さく思わせてくれるこの場所に何度も救われてきた」

「……」

「俺の、大切な場所に連れてこられて嬉しい。来てくれて、ありがとう」


いつの間にか星空じゃなくて、私のことを見つめてそう言う雪杜くん。

暗くてよく見えないけど、何となくわかる。

どんなに優しく微笑んでいるか。


「花暖先輩」

「……」

「好きだよ」


鼻の奥がツンと痛んで
こらえる暇もないくらいあっという間に涙が溢れる。

のどのあたりがぎゅっとなって上手く息ができない。

言葉だって何も出てこなくて、
何か言わなきゃって、それだけ。

どれだけ視界が滲んでもずっと雪杜くんを見つめる。

だって信じられない。


「う……そ……」

「うそじゃない」

「ゆきもりく、ん、が……私、す、好きなんて」

「ほんとだよ」

「……っ」

「ほんとに、すき」


ああ、死んじゃいそうだ。


やっぱり暗くてよかった。

こんなにブサイクな顔、大好きな人に見られずに済むんだから。