「ゆっ、雪杜くん、だめ……っ!!」
「いいから、じっとして」
「そ、それ以上は……私……っ!!」
「はあ、大人しくして」
「だ、だって……!!」
泣きそうな私を見て、雪杜くんはやっと手を止めてくれた。
雪杜くんの家。
雪杜くんのセーターやコート、さらにはマフラーでぐるぐる巻きにされて完全防備。
ただでさえドキドキしてるのに、
もっこもこの厚着
さらには雪杜くんの香り
もう、汗がだらだら出てくる。
「風邪ひかれたら困るし、しっかり厚着してもらわないと」
「でも、なんかもう私色々とキャパオーバーだよぉ~……!!」
「いいから」
雪杜くんが私に見せたいものって
まさかこのコートやマフラーじゃないよね?
ああもう、思考すらおかしくなってくる。
「ほあっ!?」
自分もコートを着て、そっと私の手をとる雪杜くん。
て、手!!
雪杜くん、手が!!
「じゃ、行こっか」
私の手を引いて、雪杜くんは微笑んだ。