「花暖先輩」

「雪杜くん、私……」


自分の口に人差し指をたてて微笑む雪杜くん。
ねえ、だから。
そういうのどこで覚えてくるの。


「本当は明日見せたかったけど、いっか」

「え……?」


雪杜くんが、見せたかったもの。
クリスマスに、私に見せようとしてくれていたもののこと……?


「先輩、これから少し時間ちょうだい」

「う、うん!!」

「は、即答」

「当たり前だよっ!!」


少しなんて言わないで。
もう全部あげるから。

頑張ると決めた私が、君にあげられる最大のものなんて、
もう時間くらいしか残ってない。