春に笑って、君宿り。

……気に、しないんだ。

私が環くんと一緒にいても
雪杜くんじゃない人の隣で一緒に笑っていても

雪杜くんは何も、気にしないんだ。

そっか、

私は雪杜くんの好きな人じゃないから。


「……っ」


たまらなく寂しくて、また涙が出てきそうになる。
でも泣かない。
さっきあれだけ泣いたから。

我慢。

でもその代わりに、何も言葉を発することができない。

口を開いたら感情があふれ出て、一緒に涙が出てしまうから。


「……はあ」


ずっと黙っていた環くんがため息をついて。


「っ、わ!?」

「!?」


私の背中をとんっと押した。
そのせいで私は雪杜くんに抱きつく形になる。

ふわっと桜の香りに、余計に泣きそうになった。


「カノ頼むわ」

「……タマキ先輩」