春に笑って、君宿り。


「うん、雪杜くん」


雪杜 奈冷くん。

それが、今度の私の好きな人の名前。
ちゃんと覚えてね?


「その子の、どこが好きになったのか、聞いてもいい?」

「気になるからだよ」

「!?」


私の即答に、目をまん丸にして少しぽっと頬を赤らめる森ガール。
そして萌ちゃんは大きくため息。

環くんは……うわ、角がはえてきた。
というかそんなに怒ること?


「気になるから……って、それだけ?」

「うん!!」

「即答かよこいつ……」


だから、なんでそんな反応……?


「だって、本当に気になるんだよ。何が好きなのかなとか、普段どんなことしてるのかなとか」


どんな顔するのかなとか、なにをしたらまたあの笑顔を見せてくれるのかな、とか。
気になるの。
もっと話したいの。


「これって、恋じゃないの……? 私、なんでみんながそんな反応するのかほんとにわかんない。何かおかしいことしてるならもう少し具体的に教えて欲しいよ……」


もやもや。

幼なじみ。それと、お友達2人。
計3人に囲まれて、新しい恋を素直に応援してもらえない、なんだか微妙な空気感。

こんなの全然楽しくない。
全然、最高なんかじゃない。