春に笑って、君宿り。

「たまきくん」

「ん?」

「どうしていつも、『頑張れ』って言ってくれるの?」


ズッと鼻をすすりながら聞くと
環くんはまた優しく笑った。


「こんなに頑張ってる奴に、なんで『頑張らなくていい』って言えるんだよ」

「……」

「お人好しで、一生懸命で、がむしゃらに突っ走って、失敗して全力で泣いて、それでもあきらめないお前を俺はずっと見てきたんだぜ?」


ぽんっと頭に大きな手がのせられる。
それは久しぶりなことで、私の知っているのよりずっとずっと大きくて、頼もしくて。


「俺以上に、お前を応援してやれる奴が他にいるかっての」

「……っ」


せっかくひっこみかけた涙が、またも勢いよく溢れてくる。

あたたかくて力強いその言葉。
いつも私を引っ張り上げてくれる魔法の言葉。

他でもないこの人だから、みんなを幸せにして、虜にする作品を作り上げることができるんだろうな。


「私、頑張る……雪杜くんに好きになってもらう……!!」

「おう、その意気だ。明日だしな、クリスマス」

「……えっ?」


あ、明日!?
我に返って、スマホを確認する。

……ほ、本当だ!?