春に笑って、君宿り。

見れば、そこには愛しの雪杜くんが立っていた。


「ゆっ、雪杜くんっ!? どうしたの?」


ああバカ。
つい駆け寄ってしまった。

防御こそ最大の攻撃だったはずなのに、カメのように自分の殻にこもることもできない。
これじゃあまるで、飼い主に会えて喜んでいる犬だ。


「いや、なんでもない」

「え!?」

「帰ろうかと思って声かけに来たけど、花壱先輩達と用があるんでしょ?」

「うっ……」


違うの雪杜くん。
これはね、作戦でね、あなたの気を引こうとね???


「じゃあ俺は帰るから、楽しんできて」


ひらひらと手を振り、立ち去ってしまった。
どうして……


***


「どうしてこうなるの~っ!!!!」


クレープを握りしめながらうわあんと声をあげる。
うまくいかないよ、押しても引いても雪杜くんには敵わないよ。
強敵すぎるよ~……!!


「どうしてって、はなのがおかしな作戦決行してるからだろ」

「カノちゃん、沖田総司の必殺技は三段突きだよ!!」