春に笑って、君宿り。

次の日の放課後。


「萌ちゃん、乃奈香ちゃん!! 今日帰りにクレープ食べに行こうよ!!」


私の誘いに、2人はきょとんとして首を傾げた。


「あれ、カノちゃん?」

「雪杜と帰らないの?」

「そう。作戦なの」

「作戦???」


作戦その2:防御こそ最大の攻撃なり作戦。

押してだめなら引いてみろ、というやつ。
この間乃奈香ちゃんに借りた少女漫画にも同じようなことが書いてあったので間違いない。


「あれ、最近花暖先輩みかけないな?」となった雪杜くんが

「……なんだか寂しいな」となり

「俺、花暖先輩が自分にとってどれだけ大事な存在かやっとわかったよ」となって

「……花暖先輩、好き、俺と結婚して」ってなるってわけ!!

そうして私たちは晴れて恋人同士に……!!!


「んっふふふ……!!!」

「カノちゃん……!?」

「池ちゃん、あたしの後ろに隠れて」


いける。
今回こそはいける。


「まあ、別にあたしらはいいけどさ」

「うん!!」

「あれ、どうするの?」

「うん???」


教室の入り口を萌ちゃんが指差した。