『先輩に見せたいものがあるんだ』


そう言って笑った雪杜くん。
私に見せたいものってなんだろう。

クリスマスだから……イルミネーションか、綺麗な夜景、とか?
それとも雪杜くんの大切なもの?
子供の頃から大事にしている宝物、とか?


「うーーーん……」


考えたって、分かるわけがないんだけども。
とにかく好きな人とクリスマスを一緒に過ごせるのは幸せなことだし、
他でもない雪杜くんからのお誘いだ。
そんなの喜ぶに決まってる。


……はずなんだけど。


「……はあ……」


なんだか元気が出ない。
そりゃそうだ。

雪杜くんと、ちょっと近づけた気になってた。
もしかしたら雪杜くんも、私と同じ気持ちになってくれていると思ってた。

でも、違った。

まだ雪杜くんの中で私はただの女の子で、ただの1つ上の先輩でしかない。


カレンダーをみる。
クリスマスまで、あともう少し。

雪杜くんに何度か勉強を見てもらったおかげで
模試の結果もテストも前回より大幅アップ。

急に成績が上がって先生に心配されたくらい。