耳の中に心臓でもあるみたいに
どくんどくんと大きく鳴り響く。

雪杜くんの「好きな人」……。
期待しちゃった。

てっきり、私のことかと思っちゃったよ。


「……」

「……」


雪杜くんの好きな人が私じゃないなら、
どうしてこんなに優しく抱きしめてくれるんだろう。

どうして、私と今一緒にいてくれるんだろう。


「……ごめん」

「え?」


突然呟かれた「ごめん」と共にそっと雪杜くんの体から引きはがされる。
見れば、今までにないくらい真面目な表情をしていて。

思わずごくんと唾を飲み込んでしまった。

え、なに、どうしたの……!?


「先輩。クリスマス、俺と会って」

「え」

「お願い」


強くて真っ直ぐなその言葉。
お願いなんてされなくても、むしろこっちからお願いしたいくらいだよ。

クリスマスに好きな人と過ごせるなんて、夢みたい。


「は、はい……!!」


決戦の日は聖夜の夜。



こうなったら、なにがなんでもなってやる。

雪杜くんの「好きな人」に、なってやる!!