春に笑って、君宿り。

***

「……」

「……」


やっと、雪杜くんの家に着いた。

私たちの家は歩いて15分くらいの距離で、こんなに時間がかかるなんて正直ありえない。

朝家を出てきたのに、気付けばお昼を過ぎている。

これは……さすがに……


「ゆ、雪杜くん、ごめんね……?」


せっかく朝から一緒にいられるのに。
ふたりっきりの貴重な1日なのに。


「わっ」


雪杜くんの手が、頭にぽんと乗っけられる。


「おつかれ、先輩」

「っ!!」


ニッと笑った雪杜くん。
胸がきゅんきゅんとうるさい。
雪杜くんがこうさせた。


「あ、改めて、今日はよろしくお願いします!!」


勉強だって、頑張っちゃう!!
もっと「おつかれ」って言って欲しい!!
「頑張ったね」って褒めて欲しい!!
「ご褒美だよ」ってぎゅっと抱きしめてキスして欲しい!!

って、キスは違うでしょ!!
もう!! お母さんが変なこと言うから!!