せっかくエリザベスが目の前にいるのに。
話したいこと聞きたいことたくさんあるのに。
「……じゃあ、俺も行くから」
少しして、エリザベスまでもが歩を進める。……から。
「ま、まって!!」
「!?」
思わずエリザベスの制服の袖をつかんだ。
いやだ、行って欲しくない。
フラれたばっかりでこの考えおかしいのわかってるけど。
どうしても気になるんだよ。君のことが。
「ちょ、なに? 離して」
だって。
会えた。
また会えたんだよ。
「な、名前っ!!」
まっすぐ私を見る紺色の瞳が綺麗で。
いや、それ以前にここまでまっすぐ私を見てくれた男の子なんて今までどれくらいいたかな。
「名前、教えて……!!」
「……人の名前聞く前に、自分から名乗ったらどう」
「はっ、そ、そうだねごめん!!」
ぱっと手を離して、気をつけをする。
「私、小日向 花暖。2年だよ!!」
私の名前を聞いた彼は、フッと微笑んで口を開く。
ああ、もう。
そういう仕草も表情も、全部。
「雪杜 奈冷。よろしく、先輩」
全部全部。
気になっちゃった。