春に笑って、君宿り。

ピンクのリボンをほどいて、そっと袋の中から中身を取り出す。

ふわっとした手触りの、うっすら桃色がかったうさぎのぬいぐるみ。


「こ、これ……!!!!」


遊園地にみんなで行った時にグッズショップに置いてあったかわいいぬいぐるみ!!
ど、どうしてこの子がこんな所に!?

思わずぎゅっと抱きしめて、雪杜くんを見る。

なんで!?
どうしてこれを!?
ええっ!?


「いい反応。よかった」

「なっ、なんで雪杜くんが私にこの子を!?」

「先輩が欲しいって言ってたの、たまたま、偶然……奇跡的に覚えてただけ」

「……」


どうしよう、どうしよう。
結構前のことなのに、覚えててくれてたの?

嬉しくて泣きそうだよ。


「ほんと、大変だったんだからね。そいつ手に入れるの」

「そ、そうだよね!?……ということは、雪杜くんあの遊園地に行ったの……?」

「他にどこで手に入れるんだよ」

「だって、人混み苦手って前に言ってた気がして……」


何度デートに誘ったって、「休日は人が多いから」とか「人混みに突っ込みに行くようなことしたくない」とか。
そんな理由で断られ続けてたからしっかり覚えてる。