春に笑って、君宿り。

「ん」

「?」


スマホの画面を、私に見せてくる。
……カレンダー?

えっと、今日の予定……『花暖先輩 誕生日』。


「っ!?」


雪杜くんのスマホの中に女の名前が!?


「今日、先輩の誕生日でしょ」

「あ、花暖って私のことか!?」

「他に誰がいるの」


ということは。
今、私が手に持っているのは……もしかして。


「あ、あ、開けていい……?」

「もちろん。気に入るかはわからないけど」

「気に入るよ!!」


雪杜くんが私に、迷うことなく言い放った時のことを思い出す。
まだ開けて中身を見てもいないのに「気に入る」と言い切った雪杜くんの気持ちが
今なら分かる。


「まだ開けてないのに」

「絶対、気に入る!!」


覚えていてもらえただけで、プレゼントをもらえただけで。
こんなにも嬉しいんだもん。