春に笑って、君宿り。


「は? お前、何?」


信濃くんの怒ったような低い声がする。
ちなみに、私の顔は未だにぐちゃぐちゃにされています。


「……」


やっと手が止まったのを確認して、私はそっとタオルを外した。


「……っ」


淡い青色に染まった髪の毛。
紺色の吸い込まれそうな瞳。
少し大きめの制服に身を包んでるけど、見間違えるわけないよ。


「別に、タオル返しに来ただけ」

「エリザベス……!!」

「「エリザベス!?」」


信濃くんとにらみ合うエリザベスはよそに、私の言葉に驚いた萌ちゃんと乃奈香ちゃんの声が重なった。


「っはあ!? それは昨日の子犬だろ!?」

「ご、ごめん、まさか同じ学校だったとは……」

「はあーっ」


信濃くんはわざとらしい大きなため息をついて、私の横を通っていく。
……少し肩がぶつかった。


もう目も見てくれなくなったんだ。
ちくんちくんと胸が痛む。