春に笑って、君宿り。

どうしてそこでタマキ先輩がでてくるわけ?
というか、ほんとになんで怒ってんの?

その質問に答えたら、機嫌直してくれる?


「んー、タマキ先輩は意外と理解あるし、勉強に必要なものとかよく教えてくれるね」


まあ、他にももっと、色々お世話になってるんだけど。

あげたらキリがないし、今はまだ言えないこともあるから。

とりあえずパッと出てきたことだけを簡単に伝える。


「う……っ!!」


ダメージを受けるかのように突然心臓の辺りをおさえてうめき出した。
なんの茶番なの、これ。


「わ、私……もっと勉強頑張る……」


何故かメラメラと燃える炎が先輩の背後に見える。

やる気を出してくれたのなら、まあ、いいのかな。
なにか俺にも力になれたらいいのに。

……そういえばタマキ先輩が、花暖先輩の成績は下の上って言っていたのを思い出す。


「先輩、俺でよかったら勉強見るよ」

「えっ、雪杜くん、2年生の内容分かるの?」

「受験のこと考えたら前倒しで勉強するのなんて普通でしょ? 今3年の範囲やってるから、花暖先輩よりは知識あるよ」

「うっ……!?」

「ちなみにタマキ先輩は高校で習う範囲全部履修してるよ」

「や、やめて、それ以上言わないでぇぇ……!!」


ついに膝をついてしまった花暖先輩。


「こ、こうなったら環くんに勉強教えてもらうしか……いや、でも……」


そうして次はなにやらぶつぶつと言い始めて、何を言ってるか聞き取れなかった。

……タマキ先輩の情報はいらなかったかと少し後悔する。


ねえ、花暖先輩。
やっぱり俺じゃ、頼りない?