春に笑って、君宿り。

***

「……と、言うことなの!!」

「いいよ」

「そ、そうだよね、やっぱりいきなりこんな事言われても……」

「人の話、聞いてた?」

「えっ!?!?」

「すごい時間差」


帰り道。
いつもみたいに並んで歩いていた時、思い切って聞いてみた。

そしたらあっさり「いいよ」って。


「ご、ごめん!! でも、断られちゃうかと思ってたからびっくりして……」

「『みんな』ってことはタマキ先輩もいるんでしょ。あの人がいるなら俺にもメリットあるし」

「……」


やっぱり……仲良くなってる……!?!?


「で、場所は?」

「あ」

「まさか、考えてなかった?」

「うん……」


なにそれ、って微笑む雪杜くん。
ちょっと馬鹿にしたような意地悪な顔。

うう。

こんな雪杜くん、誰にも知られたくないよう。