春に笑って、君宿り。

用がなくても声かけてくれたんだ。
えへへ、昼休みまで会えるなんて嬉しいな。


「雪杜、昼ご飯食べたん?」

「いや、まだですけど」

「あたしらとご飯食べる?」

「遠慮しときます」


萌ちゃんの誘いに目を輝かせて
雪杜くんの答えにしゅんとする。
そんな私の頭を乃奈香ちゃんがぽんぽんと撫でてくれた。


「環~、後輩があんたに用あるって言ってんだからそろそろやめとけ~」

「俺に?」


環くんがようやっとこっちに来た。
ついでに信濃くんもため息をつきながら教室に入ってくる。


「どした? 奈冷」

「いや、よさそうな参考書あったら借りたいと思って」


……ん?


「おけ。ついでに学食行くか」

「……はい」


……んん?


「統河も来るよな?」

「は? 俺はカノに「決まり、行くぜ」


環くんが信濃くんの肩に腕をまわして引きずるように教室を出て行く。
ぺこりと軽く頭を下げて、雪杜くんも後を追って行ってしまった。