春に笑って、君宿り。

「……」


あれ。
幻影が消えてくれない。


「……はあ」


あれ。
幻影がため息ついた。


「……本物!?」

「そうだよ!!」


わあ、本物だあ!?
思わず立ち上がる。

萌ちゃんはハアとため息をつき
乃奈香ちゃんはふふっと笑う。
……反応はちがくても、私をバカにしてることだけはわかる。


「あ、え、ど、どうしたの!?」


そもそも教室に来てくれるの初めてですよね!?
よくここまで来られたね!?
私に会いに来てくれたの!?


「……いや、本当はタマキ先輩に用があって来たんだけど」

「え、環くんに?」


こくんと頷いて、雪杜くんは入り口の方を向いた。


「めんどくさそうな事になってるから、平和そうなこっちに来てみた」

「そ、そっか」