春に笑って、君宿り。

振り返ると、愛しい私の彼氏、信濃くんがこっちへ向かって歩いてくる。

全力でスライディング土下座をしたいところだが、なんだかそんな雰囲気じゃなさそうなのは私でも分かった。
……確実に不機嫌。というか怒ってる。そりゃそうだ。


「し、信濃くん……!!」


私は慌てて信濃くんへ駆け寄る。
冷たい目が私を見下ろした。


「昨日は、ごめんなさい。ちょっと、色々あって……」


深々と頭を下げる。
彼氏のお願いを聞くこともできない、叶えてあげられる彼女じゃなくてごめんなさい。


「……俺、もう無理だから」

「……っ」


その、無理、は。

もう、終わり、ってこと?


頭の中も、目の前も真っ白になる。

これじゃあ、前と同じだ。
こんな終わり方、よくない。
何も変わっちゃいない。

また、私が失敗した。