「あ、着くよ」


雪杜くんが、停車ボタンを押してくれる。

私が先に降りるのも
私が降りる場所も
彼の中ですでに定着しているのが嬉しい。

……し、寂しい。


「じゃ、また来週」

「う、うん!!……今日はありがとうっ」

「……こちらこそ?」


首を傾げて、目を細めて笑う。
ねえ、今日スマイルのオンパレードじゃない!?

もっと一緒にいたいよ、ずっと離れたくないよ。


「また明日」「また来週」
私が寂しいって思ってるのが伝わってるみたいに、決まってそう言ってくれる。

そんな雪杜くんの優しさが苦しい。


バスから降りて、顔を上げる。


「!!」


意地悪そうに、いたずらをするみたいに。
またも目を細めて「べっ」と舌を出していた。

その手には、スマホ。
……に、私が渡した扇子のストラップがつけらていた。


「あはは、つけるのはやぁ」


私は笑って、雪杜くんに手を振った。

かわいいな。
かっこいいな。
優しいな。

笑わせようとしてくれたのかな。
喜ばせようとしてくれたのかな。

雪杜くんの優しさが伝わってきて、どうしようもないくらいの幸せで満たされる。

また、来週。


君からもらった言葉が、また私の中で特別になった。