春に笑って、君宿り。

不思議なもので、
今まで付き合ってきた人たちとのことを思い出す。

思えば、相手の欲するものを与えて
相手が願ったことを全力で叶えようとしてきた。

それが相手のためになるし、彼女の私がやるべきことだと思って。

ひとたび私が何かを欲しがれば、
きっと「重い」と拒絶されてしまうから。

だからパシリにされる方がちょうどよかったのかも知れない。

私と相手の気持ちは同じじゃないから、それでもよかったのかも知れない。


いつしか自分の気持ちを話すことに臆病になっていた。


だからね、雪杜くん。

私が毎日のように君に「好き」って言えるのは
やっぱり私たちの出会いが運命だからなんじゃないかって思っちゃうの。

言わずにいられないから。
伝えずに、いられないの。


それ以外の気持ちはうまく伝えられないけど

いつか雪杜くんも私と同じ気持ちになってくれたらなって。


「……先輩」


想うだけで、涙が出る。

好きすぎて、涙が出る。


「何、泣いてるの」

「え、あっ!? ごめんっ!!」


ゴシゴシと乱暴に涙を拭う。