春に笑って、君宿り。

「俺みたいだから、なに?」


ねえ!?
言わせようとしてるのかなこの子は!?


「あの、その……より身近に、ですね、その……」

「なにそれ」


あああ、雪杜くんが呆れてる!!
絶対呆れてるよ!!


「ずるい。俺にも一個分けて」

「え……っ」


そう言って、雪杜くんは匂い袋をそっと手にとった。
……まって、そっちピンク色の方。


「あ、う……っ」


雪杜くんも同じ香りを身につけてくれるの?

この香りが鼻をかすめる度に、近くに感じられる。

うれしさと、恥ずかしさで思考が停止。
ほ、本当にいいの!?
ねえ雪杜くん!?
私の気持ちわかる!? 私、すっごい変なこと考えてるんだよ!?


「だめ?」

「だ、めじゃない!! 全然だめじゃない!!」


もう。
もう。

こんな小さな巾着じゃなくて、常に私を傍に置いてくれたらいいのに。