春に笑って、君宿り。

あ、そういえば。
私は自分の持っているリュックをベンチに置いて中身をあさる。


「急にどうしたの?」

「お土産!! 雪杜くんにお土産買ってきたの!!」

「え、いいって言ったのに」


その言葉に、くるっと振り返る。
雪杜くんがよくても、私がよくないの!!


「好き!!」

「……どうしたらそんな流れになるわけ」

「だ、だって振り返ったら雪杜くんがいたから……」

「……」


ジト目で睨まれる。
そんな、顔を赤くしてそんな。かわいいなあ。


「待ってね、今探すから!!」

「別に今じゃなくてもいいでしょ」


荷物だってたくさんあるんだし、と後ろから聞こえてくるけど
今渡したいんだもん。

雪杜くんに一番に渡したいんだもん。


「うーん、うーん……」


……雪杜くんへのお土産が見つからない。


「これは、お父さんとお母さんだし……あ、これ、は、ご近所の音原さん家だし、ん~……これ!!……もご近所の円城さん家のお土産だ……」