春に笑って、君宿り。

信濃くんの気持ちから逃げたくない。
今すぐ雪杜くんの元に逃げたい。

そんな気持ちで頭と心がぐちゃぐちゃになって涙が溢れて。

信濃くんは、つかむ手にぐっと力を入れてから、そっと離してくれた。

それと同時に部屋から飛び出して、ロビーに移動して電話に出た。


雪杜くんの声がいつもよりずっとずっと優しくて
ひどく安心したのを覚えてる。

安心して、会いたくなって、寂しくなって。
余計涙が出てきて、雪杜くんには心配かけちゃったな。


「雪杜くん」

「なに」

「……へへ」

「は? なんなの」


バス停について、時間を確認する雪杜くん。

そんな横顔も、真面目に考えてる表情も。
華奢そうに見えるのに私の大量の荷物を軽々と持っちゃうところも


あー……大好きだな。


これ以上好きになれないって言うくらいに好きだったのに、
どんどん更新されていく。


「あと15分くらいで来るみたい」

「う、うん!!」


話すたび、触れるたび
もっともっと好きになる。