春に笑って、君宿り。

「そんな驚く?」

「あっ、いや、私重いし……!!」

「……『荷物』を持つって言ってんだけど?」

「あああっ、そうだ、そう!! ……ちがくて!! いいよ、自分で持てるからっ」


顔、見られない。
バスから雪杜くんの姿を見つけたときは、早く降りて飛びつきたくて仕方なかったのに。

ひ、久しぶりで、なかなか顔を上げられない。
それに、さっき。

いつもの支えるように、優しく添えるようにしてくれてた腕に
力が入って、本当に抱きしめられているみたいだった。

その感覚がまだ残ってて……恥ずかしくて。

顔も、体も、全部が熱くなって変な汗まで出てきた。


「……ねえ?」

「ひゃいっ!!」


覗き混んでくるの、禁止っ!!
おかしい、どうしちゃったんだろう。
あれだけ近づきたくて、あれだけ触れたかったのに。
どうしてこんなに、恥ずかしくなってるんだろう。

たくさん話したいことあるのに。


バスの中で人生で初めてのポッキーゲームをして
ガールズトークで盛り上がって
新撰組のお話がすごく面白くて
グッズショップでたくさんお買い物して

……すごく楽しかったんだよって。

でも一番伝えたいのはそんなことじゃなくて
これだけ楽しくてもいつだって雪杜くんのことを考えて、雪杜くんが恋しくなって。
すごく会いたかったってこと。