春に笑って、君宿り。


はあ、めでたしめでたし。

最高にいい気分。

素敵な笑顔が見られちゃったんだから、もう最高でしょこれは。

子犬の件に関しては、特に私はなにもできてなかった気がするけど、オールオッケーだよね。

……よし、タオル、新しいの買いに行こう。


「それじゃあね。風邪ひかないように早く帰るんだよ!!」

「ちょ、」


男の子へ声をかけて走り去る。

なにか言いかけていた気がするけど、ちょっと今はそれどころじゃない。

早くタオルを信濃くんに届けなくちゃ。
部活、終わっちゃう。

急げ急げ、私!!!


また会えるかな、って思うんじゃなくて

また会いたいな、って言えばよかったな。


とくんとくんと知らない優しい音が鳴る。


切羽詰まってる状況のはずなのに、なんだか足は軽かった。


走れ。