春に笑って、君宿り。


『どうしよう、雪杜くん……』

「ん?」

『信濃くんが、私と雪杜くんの関係ぶっ壊したいって……うう……』

「……」


なるほど。
これはうかうかしてられない、ってことっすね。

トーガ先輩からの宣戦布告。
胸の辺りにピリッと電気が走る。


「……そんなの、無理でしょ」

『え……』

「明後日、帰ってくるんでしょ。俺、学校で待ってるし……土産話、聞かせて」

『……っうん!!』


笑ってくれた、のかな。

いつもほどではないけど、さっきより生気のある声に少し安心して微笑む。


『電話、切りたくないや……』


「寂しい」ってダイレクトに言われるよりよっぽど感じるその言葉。
胸がぎゅっと苦しくなる。

本ッ当、この人は。


「……明日と明後日のラッキーアイテム、メッセージで送ってよ」

『えっ?』


好きなもの。
いつも君が話しているもの。

共有してよ。

俺にも、君の好きなものを。


「だから、星座占いの。……家にある物なら身につける、し」

『……うん!!』


やっと、いつも通りの声色になった。