春に笑って、君宿り。

「……」


静かすぎた。
あの人がいない学校生活が。

毎日のように
あるときは放課後
またあるときは昼休み

隙あらば話しかけてきて、つかまって。

あの人が隣にいない日がこんなにも静かで、つまらないとは。

たしか、今日は自由行動の日だったはず。

あーあ、聞いてもいないのに楽しそうに修学旅行のスケジュールを話してくるから
覚えてしまったじゃないか。

……おかげでこちとら時間の流れが遅いんですけど。


「……はあ」


長い長い授業も終わり、やっと放課後。

誰かさんがいないおかげで、久しぶりにバスに乗って家に帰る。
いや、これまでも別にあの人に合わせることなかったはずなのに。

あんなに悲しそうな顔されたら、言うこと聞いてあげるしかない、し。

俺が帰りたいんじゃない。

あの人が一緒に帰りたいと
少しでも一緒にいたいと

そう言うから、合わせてるだけで。


家まで送るのだって、あの人がそうして欲しそうだったからで。

別に、俺は。