春に笑って、君宿り。

私が諦めない限り、信濃くんの恋だって叶わないことになるんだよ?

なのに、ずっと諦めないでいてくれるの?


「中途半端に諦められるなら、多分最初からこの気持ちに素直にならなかったと思うから」

「……信濃くん」


誰かの言葉に左右されないで
ただ真っ直ぐ自分の好きに正直に、疑うことなんてしない。

それを貫き通せる人はこんなに強いんだと痛感する。


「ありがとう、なんだか私まで元気もらっちゃった」

「いや、元気なのはいいことだけど、俺の立場よ」

「あは、お互い頑張ろう!!」

「……ちょっとずれてるんすけど……」


さっきまでの緊張が嘘みたいにほぐれていて。

こうして、普通に話ができて良かったな。


「えへへ」

「え、なに笑ってんの?」

「んーん、遊園地の時も思ったんだけどね?」


くすくすと笑いながら、信濃くんを見る。
だって不思議で、おかしくて、楽しくなっちゃったから。


「付き合ってた時以上に、信濃くんとずっと近づけた気がして、不思議で」

「……っ、ああもう……!!」

「え、わっ!?」