春に笑って、君宿り。

「じゃ、じゃあ2回目……は……？」


今回は？
そんな、誰にでもいい顔して、人助けが趣味みたいな人間を悪用するんじゃなくて。

きちんと向き合おうとしてくれたのはどうしてなんですか。


「前も言ったけど、今回はちゃんと好き」


真っ直ぐこっち見ないでよ。
ずるいよ。

視線の逃げ道、下しかない。


「だ、から、どうして……？　期間だってそんなにというか、全然空いてないよね？」

「んー……本当は言いたくないんだけど……」


少し顔を上げて、ちらっと信濃くんを見る。
さっきと違って、困ったように笑っていた。

……そんな顔したってだめだよ、ちゃんと言ってくれなくちゃ。


「その、遊園地の時、なんだけど」

「……？　遊園地の時？」

「そうそう」


待ち合わせをして、信濃くんと再会をして。


「『私もごめん』って笑ったろ、カノ」

「あ……」


確か、信濃くんが謝ってくれたんだよね。
ぶっきらぼうに、ぽいって投げ捨てるように、
心なんて全然こもってない「ごめん」を私にくれたんだよね。