春に笑って、君宿り。

優しい声。
優しい目。

付き合ってる時にしてくれなかったことを、どうして今するの。

……ああ、そうか。
信濃くんは今、私のことが好きだって言ってたから。

「今度こそ」、「ちゃんと」、「好き」って。


「私、信濃くんがどうして私のこと好きになってくれたのかわかんない……から、」


そう。

1回目の告白も
2回目の告白も

「好き」って言葉は一緒なのに、あまりにも対応が違うから。

信濃くんの中での私という存在が、どう変化したのかわからないから。


「初めてカノに告った時は……ごめん。ただの暇つぶし」

「……」

「告ったら100%の確率でOKしてくれて、しかも言うことは何でも聞いてくれるって男子の間ではもっぱらの噂だったから」

「……え、私そんな噂たってたの……?」


そんなの初耳なんですけど……。
どうりでモテると思ったよ。
別れてもすぐに告白されるから、私も捨てたもんじゃないなって思ってた。

……そんな、ことなかった。


「誰にでもいい顔して、人助けが趣味みたいな人間を悪用するクズは一定数いるわけですよ」


俺みたいにねって、そんな意地悪く笑わなくたって。
私割としっかり傷ついてるんですからね?