「私のせいで雰囲気を台無しにしちゃったよね」


「そんなことないよ。むしろ星谷のおかげで心が和んだし、“また話してみたいな”って思った」


どこまでも優しい人だなぁ。


これからも朝丘くんと色んな話をしたい。


もっと知りたい。


「私、朝丘くんと友達になりたいです」


初対面の時は勘違いとは言え失礼な態度をとり、二回目に会った記憶はまだ思い出せないまま。


こんな人間からの友達申請、OKしてくれる可能性は低いだろうけどダメ元だ。


「なろうよ、友達に」


「ほ、本当!?」


「っていうか、俺的には既に友達のつもりでいたんだけどな」


「えっ」


朝丘くんの中で私は“言うまでもなく友達だろ”みたいな状態になってたんだ。


なんだか嬉しい。


「それじゃあ、改めて…」


スッと差し出された朝丘くんの手。


動作の意図が分からず固まっていると、優しく手を握られた。


「これからもよろしくってことで、握手」


なるほど、そういうことか!


「うん、よろしくね」


握られた手を小さく揺らす。


輝く夕日がいつもより綺麗に見えた。