花はどこからきて、どこへ還ってゆくのだろう。



ゆらっと燃える炎花(えんか)を無表情に見つめながら、霧に包まれた思考で俺はそんなことを考えていた。花は燃えているように見えるが、実際には燃えておらず、そう人の目に映るだけ。


街の果てにある墓地に煌々と夜の闇を照らす花灯りに見守られながら、母の面影を思い出す。


いつも花の香りをさせていた母。


夕食に作るごろごろ入ったじゃがいものスープをふたりでわけあって、美味しいねと笑い合った。


いつも花の絵を描いていた。なんの花かわからない俺に、「わたしが死んだらわかるわよ」なんて笑えない冗談を、花がほころんだように言った母。



ずっとふたりだけで、狭くちいさな世界を、花とともに生きてきた。