そうこうしているうちに、葵くんは、最後の一口を飲みほそうとしていた。

 うわぁ、よく見てみると、イケメンの葵くんはコーヒーを飲む姿も(さま)になる。美しい。

 私も、コーヒー飲んでみようかな。

 ってこれ、チャンスじゃない!? 

 お父さんがいないということは、こっそりコーヒーを飲めるんじゃ・・・・・・

 「葵くん、コーヒーどこにあるか分かる?」

 聞いてみた。

 「分かるけど・・・なんで?」

 あっ、理由を聞かれるとは思ってなかった!

 どうしよう!

 お父さんが飲ませてくれないから、いないうちに飲んでみたい、なんで言えないしな。言ったとしても、葵くんはだめの一点張りだと思う。


 なにか考えなくては!

 「お父さん、旅行に行く前に、場所変えていっちゃったみたいで」

 よく言ったぞ私!

 「ああそうなの。それなら、ついておいで。場所、教えてあげるから」

 葵くんにも怪しまれてない!

 私って言い訳の達人かも。