「お姉ちゃーん、これどうやって遊ぶのー?」
瀬田さんと話していると、海が声をかけてきた。懸垂する用のやつだ。
「それ遊ぶやつじゃないよー、トレーニングするやつ」
と言うと、海が、お姉ちゃんやってと言い出した。そんな筋力ないんだけど。
すると、瀬田さんが海のところへ行った。
「これはねー。よいしょっ、ここぶら下がって、こうやって」
と、海にお手本を見せてくれた。
「えーすごい!腕いたくないの?」
瀬田さんは何回か懸垂したところで降りて、
「ちょっと痛い」
と笑って言った。その後、海を抱っこしながらお手本のようにさせていた。
「お姉ちゃんこの人すごい!」
私が瀬田さんに、すいませんと言うと、瀬田さんはううんと笑った。
「じゃあ俺、絵描かなきゃだから戻るね」
今日も絵を描きに来たんだ、と思いながら、はいと返事した。

「あ、あのさ。もしよかったらなんだけど、今度澪ちゃんが撮った写真見せてくれないかな」
真っ直ぐ私の目を見て瀬田さんが言った。
「あの写真ほんとに綺麗だったし、見たら心も綺麗になる感じしてなんかちょっと感動したんだ。入選じゃなくて入賞じゃないかなって思ったし」
瀬田さんはまたさらに褒めてくれた。
「ごめんね、またナンパっぽくなっちゃってるんだけど…今週は多分、午前中毎日この公園にいると思うから、もし暇だったら来てほしい。じゃあね」
瀬田さんは屋根のあるところへ戻って行った。
「お姉ちゃんの友達?」
海が私を見上げて言った。
「うーん、友達、ではないけどいい人だよ」