★.:* ◌𓐍𓈒 LAST シンデレラ 𓈒𓐍◌ *:.★~挙式前夜に運命の出逢い~

 彼は、話終えると小さく溜息を吐き2度頷き返した。

「多分金絡みと思った。で、相手は? 担当医師じゃないんだろ?」

「……すみません。先生にプロポーズされたのは本当だけど、相手の方のことは絶対秘密の約束で。初めは悩んだ末、先生のプロポーズ受けようと決心しましたが、たまたま同じ日に知人が訪ねて来て最終的に知人の方を選びました。その方が、好条件なので。相手の方は、有名企業の跡取りで別居婚、夫婦別姓OKなんです。先生は、素晴らしい方ですが男性としては見られなくて……」

 凄く老け顔だしお父さん的存在だもん。まさかプロポーズされるとは……。結婚相手も先生と同世代らしいけど、写真では全然若く見えた。実際かなり若く見えるらしい。

 人柄は、きっと先生のが良さげだけど生理的に……。

「跡取り、別居婚、夫婦別姓? ……………………まさかな。……『同情するなら金をくれ』もあながち嘘じゃないか」

 彼は、3回呟いた後しばらく考え込んでいたが、目が合うとサッとそらした。でもすぐに鼻で笑って見上げる視線には、鋭い棘が含まれていた。

 その棘は、しっかりこの胸に刺さり、軽蔑された悲しみから一瞬で彼の視線を水のベールが遮った。

 ……私だってできるならこんな結婚したくない!