★.:* ◌𓐍𓈒 LAST シンデレラ 𓈒𓐍◌ *:.★~挙式前夜に運命の出逢い~

「彼女以外上げない、上がらないが俺のルール。……いい加減、本当のこと吐きなさい。このままじゃ気になって帰れない。秘密は守る。話して俺の利益になるとも思えないし」

 せっかくキュンとしたのに、最後に……。

 私は、またベッドに座り下から無敵な笑みを浮かべる彼をジトッ……と不服顔で見下ろした。

「人の不幸は、甘~い蜜ですか?」

「最高にね。……冗談! ほら、話してみ。泣きたくなったらまたよしよししてやるから」

 その言葉にまた涙がジワり滲み出るのを俯き、必死に瞬きで散らした。

 ……不思議な偶然に導かれ、ほんの数時間共に過ごしただけの私達。もしお城でこの人に出逢わなければ、本気で漆黒の闇に消え去っていたかもしれない。そんなギリギリの精神状態でいたと今ならわかる。

 ……まだ一緒にいたい。

 もう少しだけこの人に触れられる距離にいたい。また泣きたくなっても今なら彼の温もりに癒される。……最後の最後に一度くらい誰かに聞いてほしい。また明日から1人で頑張って行くから今だけ……。

「約1か月前、知人の身代わり婚を条件に母の高額治療費と借金返済を肩代わりすると言われたんです。普通のOLの私は、副業して必死に頑張ったけどもう限界で……。母は、心臓が悪くてこの夏を逃したら手遅れの可能性大……。治療費は、ある程度保険でなんとかなるけど借金までは……」