★.:* ◌𓐍𓈒 LAST シンデレラ 𓈒𓐍◌ *:.★~挙式前夜に運命の出逢い~

「……瀧君が、過去にどんな経験経て女性不信になったか知りませんが、一度でも婚約者さんに向き合おうとしました? 彼がいるとか仮面夫婦で構わないとか、もしかしたら先にシャッター下ろしたのは瀧君かもしれませんよ? 心って揺れ動きますよね? 好みは人それぞれですが、瀧君みたいな素敵な人に、生涯の伴侶として誠意見せられたら心動くと思いますよ」

 素直に感じるまま伝え彼を見上げると、穴が開きそうな目で見据えられタジタジになり慌ててカクテルを飲み干した。

 ……私なら心動くって言ってるようなもん?

「一般論ですが……」

 私は、火照る頬で俯きながら平静を装い意味不明な言葉をつけ加えた。

「一般論ね……。結ちゃんていつか白馬の王子が迎えに来るって夢見てた?」

 ……正解!

 シンデレラが大好きで王子様と運命の出逢い、ハッピーエンドに本気で憧れてた。

 彼は、ちょっぴり照れて頷く私に笑って手を伸ばしてきた。

「ハハッ! 可愛いな~。よしよし」

「……今は、同情するなら金をくれ! です」

 また子供扱いしてからかって!

 でもシンデレラストーリーなんて物語の中だけってとっくに知ってる。また涙が滲み出し盛んに瞬きを繰り返した。

 次は、何ネタで絡むか考えるものの、かなりボーッとして彼を見上げてると、彼も同じく無言で見下ろしてきた。なんだか呆れ眼に感じた私は急に心細くなり不安が過ぎるが、容赦ない無表情に無性に腹が立ち負けじと睨むように見つめ返した。

 すると彼は、間近から睨み返した後、突然変顔を披露! 余りに意外すぎて一瞬フリーズ後、爆笑してすぐに口を塞がれた。