★.:* ◌𓐍𓈒 LAST シンデレラ 𓈒𓐍◌ *:.★~挙式前夜に運命の出逢い~

「おいおい水も飲む! ったく自分で振っといて……可愛いな」

 頭を撫でる子供扱いにムッとして、ずっと気になってたことをストレートに口にしたくなる。

「いつからセフレで十分に?」

 彼は、しばし私を凝視後、苦笑して弧を描いた瞳で覗き込み私の頭頂を軽く掴んだ。

「結ちゃんの口からセフレ……意外と言うね~。酔い回ってきた? アルコールは、水分として吸収されないから脱水症状になる時がある。だから水分補給も必要」

「全然! おかわり! ……これ超甘いです、食べて下さい」

 彼の指摘に顔が燃え上がり焦ってメロンを食べ話題を変えようとした。決して下ネタ好きでもなく平和主義なのに、なぜか彼には絡みたくなるのが不思議である。

 ……いいや、この際酔ったフリして好きなだけ絡んでやる!

「瀧君、今まで存在するだけでハエトリグサのように女性が寄って来る超エコ恋愛してました?」

 再び横目でジロり見上げると、彼はまた余裕な表情の流し目で見下ろしてきた。

「凄い例えだな、ハエトリグサ……。結ちゃんって意外と面白い。超エコ恋愛とか。……まぁ否定はしない。ただ俺、本気で恋愛した事ないと思う。誰かを想い眠れない夜とか理解できないし。俺の外見やハイスペックな経歴に寄ってたかるハエのような女ばかりでさ。優しく微笑み甘い一言でチェックメイト。誰も本当の俺を見ようとしない。……婚約者さえも」

 そう言った彼は、嘲笑いながらも一瞬孤独な目をするがすぐに見事に封印してみせた。

 その姿に酷くこの胸も共振したように痛み出す。