彼は、間近で私を見下ろしてしみじみと呟いた。
20も違うとは驚き! ……私達周囲にどう見えてる? 上司と部下? ……恋人? は無理あり? ……まさか本当に親子!?
「父は、60代だから全然そんな風に思えません」
「……なら男としては?」
ドキッとする色気ある声に耳元で問い掛けられ、心音が乱れるのを悟られないよう笑ってみせた。
「何言ってるんですか? 明日結婚する人が。しかも娘世代に」
「その話は、封印だろ? ……俺だって娘なんて全く思えない」
私は、好みの低音ボイスが頭上で心地良く響き胸の鼓動が暴れ出すのを必死に収まるよう願った。そして運ばれてきたオレンジのカクテルに手を伸ばした。
……桃の優しい甘さがとても飲みやすい。
満足げに溜息つくと、また頭上からクスクス笑いが降りてきた。
「お気に召したようで。三葉……本名は?」
「御縁結です。結ぶって漢字一文字のゆい」
「……」
少し遠慮がちな声にすぐに頷き名前を告げると、なぜか無言を返された。
「もしかして御縁結び?」
「はい。凄い! 普通、御縁なんて知らないですよ」
「凄い縁起のいい名前。なら相当モテるだろ? 男が、守ってやりたい雰囲気だし。でも意外と根性ありのおしんタイプだったりして。あ、おしんって知らないか」
20も違うとは驚き! ……私達周囲にどう見えてる? 上司と部下? ……恋人? は無理あり? ……まさか本当に親子!?
「父は、60代だから全然そんな風に思えません」
「……なら男としては?」
ドキッとする色気ある声に耳元で問い掛けられ、心音が乱れるのを悟られないよう笑ってみせた。
「何言ってるんですか? 明日結婚する人が。しかも娘世代に」
「その話は、封印だろ? ……俺だって娘なんて全く思えない」
私は、好みの低音ボイスが頭上で心地良く響き胸の鼓動が暴れ出すのを必死に収まるよう願った。そして運ばれてきたオレンジのカクテルに手を伸ばした。
……桃の優しい甘さがとても飲みやすい。
満足げに溜息つくと、また頭上からクスクス笑いが降りてきた。
「お気に召したようで。三葉……本名は?」
「御縁結です。結ぶって漢字一文字のゆい」
「……」
少し遠慮がちな声にすぐに頷き名前を告げると、なぜか無言を返された。
「もしかして御縁結び?」
「はい。凄い! 普通、御縁なんて知らないですよ」
「凄い縁起のいい名前。なら相当モテるだろ? 男が、守ってやりたい雰囲気だし。でも意外と根性ありのおしんタイプだったりして。あ、おしんって知らないか」


