★.:* ◌𓐍𓈒 LAST シンデレラ 𓈒𓐍◌ *:.★~挙式前夜に運命の出逢い~

 約1時間後、私達は独身最後の晩餐の為、誰もが知る一流ホテルの最上階にあるスカイラウンジの窓際ソファー席にいた。

  私は、お城から眺めていた遠くに輝く夜景を、間近に見下すラグジュアリーな非日常空間に心浮き立っていた。画面でしか見たことのないお洒落なカクテルと、美味しそうなアラカルトにまさに夢見心地でいた。

 彼は、そんな私を場慣れした様子で見守っていた。

 しかしまだ母が元気だった頃、居酒屋でチューハイを飲む程度で一流ホテルラウンジに足を踏み入れるのが初めての私は、すぐに場違いと居心地の悪さを感じ始めた。

「もしかしてラウンジ初めて?」

「はい」

「へぇ……実に初々しくていいね、新鮮。三葉ってまさに汚れなき乙女の印象。ストレートロング凄い似合うし。歳は、20歳前後?」

「……26です」

 チビで童顔の私は、歳を言うと必ず驚かれる。皆、若く見えて得って言うけれど、秘かにコンプレックスである。

 しかも三葉って……私は、(ゆい)です。……ってどの口が言う?

 案の定、目を丸くしてる表情にプイ と目をそらし、鮮やかなグリーンに赤いミニ薔薇を飾ったカクテルを口にした。