「良い男だからな」お前が良い女になることも、わかるんだよ。そう言って、あかりの下ろしていた長い黒髪を撫で、イタズラに笑いながら照れ隠しに少しかきまぜる。けれどあかりは嫌がることもなく、世界中の幸せを掻き集めたような、そんな嬉しげな表情で微笑み頷いていた。
ポトフの野菜が蕩けたコンソメの香り、蒸らしているサーモンのバターの匂い。たっぷり幸せで温かいものたちが、寒さなんて知らないと言いたげな笑顔の二人を包み、再び降り出した表の雪を溶かしてしまいそうだ。──“その感情”に恋しているその現状は、お互い自分に秘めた甘酸っぱい〝想い〟だけ。……
ポトフの野菜が蕩けたコンソメの香り、蒸らしているサーモンのバターの匂い。たっぷり幸せで温かいものたちが、寒さなんて知らないと言いたげな笑顔の二人を包み、再び降り出した表の雪を溶かしてしまいそうだ。──“その感情”に恋しているその現状は、お互い自分に秘めた甘酸っぱい〝想い〟だけ。……

