ぼんやりしていて、その言葉の意味がよくわからなかった。
「純くん…本当の私を知っても友達で居てくれる?」
「当たり前だろ?」
 そう言いつつも、胸がざわついた。
「私、バイト先で知り合った人と、1年近く付き合ってるの…」
 そう聞いただけでも何故だか寂しさを感じたのに
「彼ね、奥さんも子供も居るんだ…」
 僕の酔いは一気にさめた。
「どうしてそんな相手と…!?純ちゃんなら、何も不倫なんかしなくたって、独身でいい人はいくらでも見つかるのに」
 とても寂しそうな笑顔の彼女は、
「彼のことをパパって呼んでるのね。パパは、私とのことがバレたらまずいせいか、一度も名前を呼ぶことはなくて、お前としか呼ばないけど…。それでも、パパって呼ぶことで、今まで埋められなかったものを埋められるような気がしたの」